思い出を胸に、「今」を輝かせたい
2015/10/08
お仕事の関係で、久しぶりにアルバムを開きました。
今は亡き母方の祖母の写真を探していました。
今から5年前祖母は肺がんで亡くなりました。
母の実家が群馬県で、 遊びに行くと、「あーちゃん良く来たね」と ハグしてくれました。
とても優しくて、いつも笑顔で大好きな祖母でした。
祖父を早くに亡くした祖母でしたが、 母の兄弟と一緒に穏やかに暮らしていました。
温かく迎えてくれる祖母と叔父や叔母に会いに行くのが とても楽しみでした。
写真を探しながら、ふと思い出していました。
祖母が肺がんとのことで、病気が発覚してから、 即時手術を行いましたが、その後安心だと思っていた矢先 癌の転移が発覚しました。
余命3ヶ月と宣告を受けた祖母は、 「家族と共に過ごす時間」を長く持ちたい。
という想いから病院ではなく、 自宅で過ごすことを選びました。
限りある時間をどのように過ごすのか、 というのは希望のある考えでもあり、同時に 病と、そして自分自信と向き合うという 大きな決断だったのではないかと思います。
祖母は自らの病を向き合い、 家族と少しでも長く、また祖母が自分らしく生活をするために 放射線治療をしないで、 家族全員で自然治療を言われる治療法で向き合うという決断をしました。
自然の力を借りて、体内に溜まった不定愁訴や 不要物を少しずつ排出し、 また食事も、玄米や野菜を中心とした 昔ながらの、自然からの恵をいただくというような治療法です。
この闘病生活が始まった時期に重なるように、 当時中学生だった私は、入学して1ヶ月ほどで、 体調不良により学校に通うことができなくなりました。
周りの同級生ができる「普通」と感じていたことが 自分だけ出来なくなってしまった気がして、 ひとり取り残されてしまったような疎外感と虚無に苛まれました。
原因がわからず、不安に押しつぶされそうな日々の中で、 病院へ掛かってみたものの、最初は原因が掴めず、 血液検査や心拍数、体のどこを調べても全く異常はなく、 やっとのことでたどり着いた先は… 精神科病棟でした。
そこで初めて、心の病気に気がついたのです。
病院では「パニック症候群」「うつ病」など たくさんの病名をもらいましたが、所謂心身症であることがわかりました。
当時、「そっか病気か。病気なら病院に来たんだから治るね」 と思ったもので、少ししたら治ると思っていました。
処方してもらった薬を飲んで、ちょっと静かにしていたらいいんだと。
ですが、一般的にこの症状を持った方の治療法は確立させておらず、 また非常に個人差のある病気なので、 「もう治る」という時期が見えることはありません。
病気なら、薬を飲んだら治ると思っていた私の中の方程式は ここでグラッと揺らいで、跡形もなく崩れ去ってしまったのはいうまでもありません。
祖母の闘病と同じように、 病気や体との向き合い方を考えた時期でした。
祖母が私が精神安定剤を飲んでいることを案じて 薬を止めてみはどうか、という提案をしてくれました。
正直、薬を飲むのがある種の自己暗示になっていた部分もあり、 依存してしまっていた私が薬を止めてしまうということは とても不安でしたが、 病気と向き合うことを決めた祖母を見て 私自身も背を押して貰ったということもあり、 止めることを決断しました。
病院では一般的に、飲んでいた錠剤の量を少しずつ減らすことが、 気持ちや心にも負担がなく、良いとされていますが、 私自身が飲んでみて、病状の回復を感じられず、 個人的な感想ではありますが、なぜか量が増えれば増えるほどに 体調が崩れていたこともあったので、 スッパリ止めてしまいました。
祖母から背を押してもらった、この思い切った行動が 驚くべき変化を運んでくれました。
あんなに体調が悪く、視界が曇っていた気がしていたのに 不思議と体調は回復の萌しを見せ始め、 曇って見えた景色はパッともやが晴れたように鮮明に映されました。
ここからは、紆余曲折ありましたが 真っ暗な景色へ引きづられることも減って、 中学3年生になる頃には、 家族や学校の先生にサポートをしれもらいながら、 特別学級へ顔を出せるまでになりました。
その後のんびりと自分のペースで歩もうと 定時制高校で、昼は自営の仕事をしながら、 夜間に学校に通うことにしました。
高校に入学した、その年… 私と家族みんなを温かく見守ってくれていた祖母が、 そっと息を引き取りました。
無事に入学したことを知らせに、家族で祖母に会いにいった次の日のことでしたので きっと、私たちたちが会いに来るのを 待っていてくれたのだと思います。
自然治療を続けていた祖母は、末期の癌でありながら、 苦しむこともなく、本当に穏やかに眠りについたと聞いています。
私自身も強く感じたことですが、 近頃では安易に薬が手に入りますが、自然から離れすぎてしまい、 科学の力に頼りすぎてしまうと、 体調不良と言う形で表してくれた身体からのメッセージを無視して、 一時的に身体の声を聞こえないようにしてしまうと、 時には副作用という形で負担をかけている場合があるのかもしれないと… その時に初めて知りました。
食と生き方の選択については、祖母が死をもって、 残された者へ残してくれたメッセージだと思っていますし、 仕事だけではなく、私の大切にしている指針でもあります。
現在、私がハナビラタケのお仕事をしている 「きのこや松下」が皆様にお伝えたい想いは、 父、母、私の3人では少しずつ違う想いの形があり、 お伝えする言葉も違うかと思います。
しかしこのはなびらたけを通じて、 食のあり方や 敷いては、人の生き方や幸せや、心の豊かさをお伝えしていきたいという想いは きっと同じであろうと思います。
私の発信できる言葉や、声の大きさは まだまだ両親には到底及ばず、 一人の力ではなかなかお伝えするのは難しいかもしれません。
ですが、たった一人でも多くの方へ 「きのこや松下」の想いをお伝えできるように、 小さな一歩を私なりに重ねていきたいと思っています。
『ハナビラタケ』の名前のように、 一人でも多くの方の心へ、 ふわっと優しくて温かい想いを込めて 『お花が届きますように…』 長くなってしまいましたが、 大好きな祖母の思い出と共に、 今あるこの瞬間に感謝して、 日々頑張りたいと改めて強く感じました。 (秋の夜長に思い出を胸に。。。)
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